高血圧
高血圧は自覚症状がないため気が付きにくい一方で、
脳血管疾患や心筋梗塞、大血管の狭窄など
重篤な病気につながる危険な症状です。
健康診断や別症状での受診で発見されることも多く、
40歳以上の約半数近くが高血圧をきたしているという
データもあります。
高血圧とは
「収縮期血圧≧130mmHg、
拡張期血圧≧80mmHg」
の場合を指します。
高血圧の程度により、
重症度がⅠ度~Ⅲ度に分類されます。
至適血圧:収縮期血圧<120mmHg かつ
拡張期血圧<80mmHg
正常血圧:収縮期血圧120-129mmHg かつ/または
拡張期血圧80-84mmHg
正常高値:収縮期血圧130-139mmHg かつ/または
拡張期血圧85-89mmHg
Ⅰ度 高血圧:収縮期血圧140-159mmHg かつ/または
拡張期血圧90-99mmHg
Ⅱ度 高血圧:収縮期血圧160-179mmHg かつ/または
拡張期血圧100-109mmHg
Ⅲ度 高血圧:収縮期血圧≧180mmHg かつ/または
拡張期血圧≧110mmHg
さらに高血圧は原因によって
本態性高血圧と二次性高血圧に分類されます。
他に、診察時のみ高値を示す白衣高血圧、
一時的な痛みやストレスによる一過性高血圧もあります。
①本態性高血圧
最も多いのは本態性高血圧で、
およそ90%が本態性高血圧と言われています。
本態性高血圧は血圧が上昇する理由となる疾患が
明確に特定することができず、
多くが遺伝的な要因で起こる高血圧を指します。
本態性高血圧の治療は
まず第一に生活習慣の改善を行います。
食事内容:果物・野菜・低脂肪を心掛け、
飽和脂肪酸や脂肪摂取量を減らします。
塩分制限:1日の塩分摂取量を4~6gにすることを
目標とします。
(一般的なしょうゆの塩分は
大さじ1杯で2.2~2.9g程度、
お味噌汁1杯の塩分は1.5gです)
体重管理:BMI<25にコントロールします。
カリウム摂取の増量:1日のカリウム摂取量を
3.5~5.0gを目標とします。
(バナナ1本には0.4g、アボガド1個で0.7g、
じゃがいも1個で0.9g、納豆1パックで0.6~0.8g
といわれています)
運動療法:有酸素運動を取り入れます。
(早歩きでのウォーキングを30~60分、1週間に5~7日)
飲酒制限:アルコールの摂取量を1日20g程度にします。
(アルコール度数5%のビールを1日500ml)
禁煙
ただし、食事内容や運動療法に関しては、
肥満や糖尿病、他疾患を合併している方は
注意が必要です。
医師と相談の上、
指示の範囲内で行うようにしてください。
②二次性高血圧
他の疾患が原因で高血圧をきたしており、
原因疾患を治療することで血圧値は改善されます。
最も多い原因疾患としては腎性であり、
腎炎や糖尿病、動脈硬化性腎血管疾患、
繊維筋性異形成が挙げられます。
これらの疾患によって腎動脈が狭くなることで、
腎臓に十分な血流が供給されなくなり、
血圧を上げる作用を持つレニン
というホルモンを分泌し始めます。
次に多い原因疾患としては、
原発性アルドステロン症やクッシング症候群、
褐色脂肪細胞腫、甲状腺機能低下症・亢進症、
副甲状腺機能亢進症があります。
これらはいずれも内分泌疾患であり、
内分泌の量をコントロールすることで
血圧も正常化すると考えられます。
その他、大動脈の異常や
薬剤の使用が原因として挙げられます。
まずは生活習慣の改善や、他疾患の除外を行ったうえで
血圧高値が持続する場合には、降圧薬を使用します。
降圧薬にはいくつか種類があり、
血圧を下げる機序がそれぞれ異なります。
高血圧の程度や年齢、既往によって
治療薬の選択をする必要があります。
また、血圧を下げすぎても
ふらつきや失神などがみられ危険です。
他院様でお薬を処方されている場合には、
お薬手帳や処方内容がわかるものをご持参ください。
血圧のコントロールは
重篤な疾患を予防するために重要です。
まずはご家庭で普段から血圧を測って
把握しておくことをおすすめします。