梅毒
梅毒トレポネーマという細菌感染によって起こる病気で、性交渉によって感染します。
性交渉開始時期の若年化や性の多様化、
複数の性パートナーの存在により、
近年は世界各地で梅毒感染者数は増加しています。
大規模な流行がみられた1960年代の感染者数を上回り、2022年委は10141例の報告数がありました。
男性では20~50代の幅広い年齢層で、
女性では20代に多い傾向にあります。
まれに梅毒感染者の血液等などの
体液に触れることによって
感染してしまった症例もあります。
症状は病期によって異なり、
全身に多様な症状をきたします。
梅毒トレポネーマが神経に入り込むと、
眼や耳に症状が現れることもあります。
その症状は以下のいずれの時期にも起こり得ます。
梅毒1期
感染後3週間は症状はなく、
その後梅毒トレポネーマが侵入した箇所の皮膚に
小さな潰瘍や赤い発赤等がみられます。
性器周辺や口、喉に多く見られます。
近くのリンパ節が腫れることもあります。
これらの症状は痛みや痒みを伴わず、
1か月ほどで自然と落ち着くことが多いです。
梅毒2期
1期から1~3か月で梅毒トレポネーマが血流にのって
全身へ移行します。
そのためこの時期には
全身に様々な症状が出現し始めます。
特徴的な症状として、
手や脚、腕、背中に無痛性の紅斑がみられます(バラ疹)。
その他にも皮膚や粘膜に
赤く盛り上がった発疹(丘疹性梅毒疹)や
扁平コンジローマなどがみられ、
発熱や倦怠感、脱毛、
皮膚の一部が白くなるなど多様な症状があります。
2期でみられる症状も、
1期と同様に自然と軽快していきます。
潜伏梅毒
梅毒では血液検査が陽性でも
症状が認められない時期があります。
梅毒1期と2期の間、
および梅毒2期の症状消失後の期間です。
感染後1年以内の梅毒潜伏期を早期潜伏梅毒、
感染後1年以降を後期潜伏梅毒とよびます。
早期潜伏梅毒は感染性がある一方、
後期潜伏梅毒は
性的接触での感染性はないといわれています。
梅毒3期(晩期顕症梅毒)
感染後数年~数十年が経過すると、
全身にゴムのような軟らかい腫瘍(ゴム腫)ができ、
周りの身体の組織が破壊されていきます。
脳や神経、心臓や血管も障害され、
麻痺や死亡するケースもあります。
先天梅毒
梅毒に感染している女性が妊娠している場合、
胎盤を通して胎児にも梅毒トレポネーマが感染します。
流産や死産だけでなく、
赤ちゃんが生まれても出生後に様々な症状が現れます。
生後数か月以内に水疱や発疹、
リンパ節の腫れや肝脾腫等がみられ、
2年ほどすると角膜炎や難聴、発育不良など
様々な症状が認められます。
検査は血液検査を行いますが、
感染から3週間経過しないと検査はできません。
治療は抗菌薬を用いて行います。
梅毒だけでなく、
性感染症全般に当てはまることですが、
治療はパートナーと共に行うことが望ましいです。
また「感染したかもしれない」と思う場合には、
性交渉は行わず、3週間後に検査を受けましょう。
1人で治療を始めても
パートナーが感染している状態では、
効果がありません。
感染症は多くの人が予防や治療を行うことで
失くせる病気です。